事業概要

はじめに

科学計算総合研究所(Research Institute of Computational Science Co. Ltd., RICOS)では、CAE(Computer Aided Design)と AI(Artificial Intelligence)を創発的に組み合わせることで、製品仕様を満たす最適設計を瞬時に提案できる Autodesign の実現に向けた研究開発を推し進めています。ここでは、Autodesign の実現に向けた事業内容と、これらを支えるソフトウェア・ハードウェア・インターフェイスについて説明します。
ここで AI は、機械学習技術により作成された機械学習モデルまたはそれを内包するシステムのことを指します。


CAE を活用した設計フロー

CAE は、コンピュータを用いて工業製品の設計・開発をすること、またそのツールのことを指します。製品設計における試作や実験回数を削減でき、流れや電磁場など観測できないものの挙動が評価できることで、現代の製品設計では欠かせない技術となってきました。CAE を活用した一般的な設計フローを示します。

  1. CAD モデルの作成
    • CAD モデルは、製品形状をコンピュータ上で表したものです。使用する材料や公差の定義などの情報も保有しています。CAD モデルを作成することが、シミュレーションのための第一歩となります。
  2. メッシュ生成
    • メッシュ生成(メッシング)は、シミュレーションを実施するために、CAD モデルからメッシュを生成する工程です。メッシュは、点と直線で張られる微小な領域の集合で、この形状によってシミュレーション結果の品質が変わる、重要な工程です。
  3. シミュレーション
    • CAD モデルから生成されたメッシュと、実現象を記述する方程式を利用して、物理シミュレーションを行います。変形・流れ・熱・電磁場など様々な物理現象と、その相互作用をシミュレーションすることが可能です。
  4. シミュレーション結果の可視化
    • シミュレーション結果の可視化は、計算結果を評価するための重要な工程です。
  5. 設計仕様との比較・最適設計のためのフィードバック
    • 一般に、ひとつのシミュレーション結果だけを参考にして製品形状や加工条件を定めることはありません。様々な形状や条件をシミュレーションし、シミュレーション結果を設計仕様と比較することで、最適設計のためのフィードバックを与えます。

RICOS では、CAE モデルの生成を除き、上記 CAE を活用した設計フローのそれぞれにおいて先進的な技術を有しています。これら技術を基盤として、既存の CAE プロセスを最適化するソフトウェア開発とサービスの提供が可能です。

CAE と AI の創発的研究:Autodesign

CAE を導入する大きな理由は、設計初期段階にコンピュータ用いて製品を評価することで、最適設計のためのフィードバックが可能なことです。これは、設計仕様を満たす最適形状・最適条件を探索する作業と言い換えることができます。設計仕様を満たす最適形状や製品の加工条件を定めるために、トポロジー最適化に代表される最適化技術が発達してきました。しかしこのような技術が登場してもなお、最適な形状や条件を得るにはフィードバックを受けながら反復的にシミュレーションを進める必要があり、瞬時に最適形状が得られるような世界の実現には向かっていません。そこで RICOS は、最適設計を瞬時に提案し、ユーザーがシステムとインタラクティブに対話することで製品設計を行う、CAE のワークフローが完全自動化された世界「Autodesign」を目指します。Autodesign の実現に向けて実施している研究事業は、それぞれの詳細ページをご参照ください。RICOS では、CAE ワークフローの研究開発を全て担うことで、一気通貫した CAE ソリューションを提供することが可能です。

提供するサービス・ソリューション
  • AI による FEM 解析結果の推定
  • AI による FEM 解析パラメータの最適化
  • AI によるトポロジー最適化
  • AI による有限要素メッシュの修正

Autodesign を支えるソフトウェア:FrontISTR

FrontISTR(フロントアイスター)は、一般社団法人 FrontISTR Commons により運営されている、オープンソースの大規模並列有限要素法非線形構造解析プログラムです。高い並列計算性能と豊富な非線形解析機能が特徴として挙げられます。RICOS では、AI 用のトレーニングデータセットを生成するために FrontISTR を使用しています。オープンソースの利点を活かし、市販 CAE ソフトよりも詳細な情報を抽出することで、機械学習の精度向上が期待できます。また、ライセンス費用が不要で並列計算性能が高いことから、多くのデータセットを効率的に生成できることがメリットとして挙げられます。数値計算と機械学習の深い知識を持ち合わせることで、Autodesign の実現を確固たるものにしています。さらに、これらの知見に基づいて、FrontISTR の利用サポートやカスタマイズなどをお受けいたします。

提供するサービス・ソリューション
  • FrontISTR の利用サポート
  • FrontISTR のカスタマイズ
  • AI 用データセット作成のコンサルティング

Autodesign を支えるハードウェア:Savanna

機械学習の精度を向上させるためには、膨大な学習データを生成する必要があり、ソフトウェアのみならず、ハードウェアの性能も重要となります。RICOS では、自社のデータセンターで数値計算と機械学習のそれぞれに特化したサーバー群 Savanna システムを運用しています。本システムは、解析プログラムにあわせて効率的に計算機を使用することで、膨大な計算量が必要となる Autodesign の計算基盤を担っています。あわせて、本システムや自社データセンターで得たノウハウを、お客さまの環境にあわせた HPC システム・クラウド環境として展開しています。

提供するサービス・ソリューション
  • 計算機システム構築のコンサルティング
  • 計算機リソースの販売・サポート
  • 計算機リソースのクラウド利用・サポート

Autodesign を支えるインターフェイス:Cistr

良い技術を広く使用していただくには、使い勝手のよいユーザーインターフェイスを利用できることが重要です。RICOS では、Autodesign や大規模並列計算、計算結果の可視化、パラメータスタディをユーザー環境によらず簡便に利用することができる、ブラウザベースの問題解決環境 Cistr を提供しています。お客さまは、プログラムの実行環境を意識することなく、それぞれの並列計算機で最適にチューニングされた解析プログラムを実行することができます。また、お客様がお持ちのソフトウェアとの連携など、Cistr のカスタマイズもお受けいたします。

提供するサービス・ソリューション
  • Cistr の利用サポート
  • Cistr のカスタマイズ