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AI-CAEソフトウェアである「RICOS Lightning」を提供する株式会社RICOS、4億円の資金調達を完了

AIとシミュレーション技術で製品設計の効率化と高付加価値化を実現する株式会社RICOS(本社: 東京都千代田区、代表取締役 井原遊、以下 RICOS)は、株式会社東京大学エッジキャピタルパートナーズ、株式会社常陽キャピタルパートナーズ、mint、DRONE FUND株式会社、UT創業者の会(東大創業者の会)ファンド、プロメテックグループ株式会社を引受先とする第三者割当増資を実施し、4億円の資金調達を2023年9月末に完了いたしましたので、お知らせいたします。

■RICOSの概要と調達の目的
RICOSは、CAE(Computer Aided Engineering)※1 にAIおよび高性能計算の技術を組み合わせることで、ものづくりのプロセスを最適化するテックカンパニーです。ものづくりの現場における製品設計のプロセスでは、CAEを活用しコンピュータ上に疑似的な製品モデルを作成したうえで、流体の流れや熱伝導などさまざまな物理現象をシミュレートする手法が多く利用されます。しかし、高い精度を求めてシミュレーションを行う際に、計算時間が非常に長くなることが1つの課題となっています。
そこでRICOSは、CAEとAIを組み合わせることで、高速にシミュレーション結果を予測できるアルゴリズム「IsoGCN(アイソジーシーエヌ)」を2020年に開発、特許を取得しました。その後2022年春にIsoGCNのアルゴリズムを用いたAI-CAEソフトウェアである「RICOS Lightning」を販売開始、流体・熱流体向けのシミュレーションツールとしてお使いいただいております。現在、マツダ株式会社様をはじめ、複数の自動車メーカー・機器メーカーに提供しております。また、現在、IsoGCNアルゴリズムを改良、より良精度かつ幅広い現象の表現が出来るAIアルゴリズムを開発中で、提供中製品である「Lightning」の継続的な更新も予定しております。

更に、2024年春のローンチを目指し、製品形状の自動変形・最適化ソフトウェアである「RICOS Generative CAE」のシステムの開発を進めております。既に、土木建築資材を開発・製造・販売する株式会社ダイクレ様をはじめとする複数企業との協業を開始しています。本システムは弊社のCAD kernel OSSであるTruck※2 と連携されており、既存製品の高性能化やコストダウン等を目的とし、構造、部材の選定、配置や形状を最適化するシステムの開発を進めています。
今回調達した資金は、「RICOS Lightning」「RICOS Generative CAE」の開発に充てるとともに、CAEを発展させるAIアルゴリズムの精度向上を目的とした研究開発、プロダクトの開発エンジニアやBizDev人材などの採用強化に充当する予定です。

■CAE×AIアルゴリズム「IsoGCN」について
RICOSが開発したAIアルゴリズム「IsoGCN」を使うことで、シミュレーション結果を高速かつ高精度に予測できます。シミュレーションデータへの適用に特化した「IsoGCN」は、下記の4つの特長を備えています。

① 高速化:従来のシミュレーションに比べて計算量が削減できるため、シミュレーションの抜本的な高速化が可能になります。
② 3Dデータの把握:3次元形状を詳細に把握できるため、製品設計の現場で用いられる複雑な形状の予測に適しています。
③ 形状に関する“外挿”の可能性:アルゴリズムに流体解析、熱解析、構造解析などの手法を組み込んでいるため、従来のシミュレーション同様まったく新しい製品形状に対しても信頼性の高い結果が得られます。
④ 容易な操作:従来、CAEシミュレーションに必須であった厳密なメッシング作業が不要となります。結果、シミュレーションに携わる方の早期の立ち上がりや、設計者・デザイナー等、シミュレーション専門の方以外の使用が可能となります。

これにより、数日かかっていたシミュレーションの計算時間を十分な精度を保ったまま数分にまで短縮した実績もあります。また瞬時に計算結果を確認できることで、リアルタイムでの製品設計の実現に近付きます。これまでの適用実績には、自動車の空力特性解析、電子部品の熱解析、樹脂製品の成形解析、ガスの熱流体解析などがあります。

RICOSは、弊社の製品を通して、あらゆるものづくりの現場で効果的に科学計算が活用され、最終的には最適な性能を瞬時にデザインできる世界の実現を目指します。

※1 CAE(Computer Aided Engineering)とは、より高品質な製品開発のために、コンピュータ内で製品設計やシミュレーションなどを行う設計手法です。コストや時間のかかる製品の試作・実験を一部省略できるため、多くの設計現場で用いられています。
※2 Truckとは、RICOSで開発しているRust言語を用いたCAD kernelソフトウェア(GitHub)です。

■出資を頂いた皆さまより
▼株式会社東京大学エッジキャピタルパートナーズ パートナー 井出 啓介様より
AIによるシミュレーションの超高速化、また今までヒトによるデザインのチェック機能でしかなかったCAEを新製品「Generative CAE」によって創造的CAE活用を可能として、新しい市場のリーダーとなることを期待しています。UTECは東京大学大学院における研究の段階からの関与しており、世界的にも突出した技術を着実に顧客価値に変えているチームを今後も支援していきます。

▼株式会社常陽キャピタルパートナーズ 代表取締役 池田 重人様より
RICOS社の技術は、既存のCAEシミュレーションの常識を覆す技術として、あらゆるものづくり現場の課題解決に向け今後さまざまな展開が期待されます。金融機関系投資会社として、銀行グループのネットワークを活用しながら、同社の取り組みをサポートして参ります。

▼mint Investment Manager 岡澤 雄介様より
創業者井原さんが積み重ねてきた研究から生まれた技術と、すでに顧客に対して圧倒的な高速度かつ高精度なシミュレーション結果をもたしている点に大きな可能性を感じ、ご出資の機会をいただきました。
経営陣を中心に素晴らしいチームである点も非常に印象的です。mintも微力ながら貢献してまいります。

▼DRONE FUND株式会社 共同創業者/代表パートナー 大前 創希様より
DRONE FUNDが目指す「ドローン・エアモビリティ前提社会」を実現していくためには、機体の性能向上は不可欠だと考えております。RICOSが持つCAE解析の高速化技術は、ドローン・エアモビリティにおける製品設計の効率化・付加価値向上に大きく寄与すると考え、投資を決断いたしました。私たちは「ドローン・エアモビリティ前提社会」の実現に向けて、RICOSの支援を進めていきます。

▼UT創業者の会(東大創業者の会)ファンド 伊藤 豊様より
CAEのワークフローを自動化・高速化し、誰でも使いやすくすることで、あらゆるものづくり領域においてグローバルに貢献できる可能性があるRICOS社の将来性に期待しています。
東大出身の起業家同士で支え合うコミュニティをベースに、私たちのファンドでもさまざまな支援をしていければと思います。

▼プロメテックグループ株式会社 代表取締役会長兼社長 藤澤 智光様より
エンジニアリングシミュレーション分野でのAI・機械学習応用に関する世界レベルの研究開発を推進している株式会社RICOS様に資本参加させて頂く機会を得られたことを大変光栄に思います。同社の技術は、次世代の製造業に不可欠な基盤技術であり、日本のものづくりの国際競争力の強化にも大きく貢献するものと確信します。プロメテックグループは、同社の事業成長を最大限支援するとともに、当グループが持つ各種CAE製品と融合させたソリューション開発にも鋭意取り組んでまいります。

■株式会社RICOSについて
会社名:株式会社RICOS
事業開始日:2015年12月
所在地:東京都千代田区丸の内二丁目3番2号
代表:代表取締役 井原 遊
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